英語・無声音「H」
秋葉系おたくの恋愛模様を綴って大ヒットした『電車男』の中に、主人公の男がパリの高級ブランド「エルメス(Hermes)」を、「ヘルメス」と読み違えるシーンがある。
フランス語では、「h」は発音しない。だから、エルメスはもちろんのこと、日本人の花子(Hanako)という名前も、フランス人は「アナコ」と発音してしまう。
英語にも、「アワー(hour)」「オネスト(honest)」のように、語頭の「h」を発音しない単語があるが、実はこれ、フランス語の影響と考えられている。英語には、フランス語経由で、たくさんのラテン語が輸入されており、「アワー」や「オネスト」はその一部。それで、フランス語と同じく、「h」の文字はあるのにしない、という面倒なことになった。
一方、イギリス起源の「ホーム(home)」や「ハンガー(hunger)」の「h」は、割合に強く発音される。また、同じフランス語の起源でも、「ヒューマン(human)」や「ヒーロー(hero)」のように、「h」を発音するものもある。イギリスに輸入されてから、音韻変化があったためとみられる。
英語・「ソープ・オペラ」
英語では、昼メロのような、主婦向けドラマのことを「ソープ・オペラ(soap opera)」という。単に「ソープ」とだけ言うこともある。
「オペラ」は「劇」を表し、「ソープ」は「石鹸」のことだ。なかには、「主婦の不倫劇など、泡のようにすぐ消えてなくなるから、この名となったのか」と考える人もいるかもしれないが、そうではない。
連続メロドラマに「ソープ」の名がついたのは、この種の番組には、たいてい石鹸会社がスポンサーとしてついたからだ。
家族の中で、石鹸を一番使うのは、主婦である。どの石鹸にするか、選択権を持っているのも主婦である。だから、石鹸を売り込むには、主婦の良く見る番組に宣伝を打てばいい。
そして、主婦の行く見る番組と言えば、ドラマ、それもメロドラマ仕立てのものだ。そこからテレビであれ、ラジオであれ、主婦向けの連続ドラマのスポンサーに、石鹸会社が名乗りを上げるようになった。
いつしか、メロドラマは、石鹸会社の提供する番組ということで、「ソープ・オペラ」と呼ばれるようになったのだ。
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