英語・スコットランド・ヤード
ロンドン警視庁は、「スコットランド・ヤード(Scotland Yard)」というで有名だが、よく考えると、おかしな呼び方である。
イギリスは、イングランド、スコットァンド、ウェールズ、北アイルァンドの4つの国からなり、スコットランドは、イギリス本島であるブリテン島の北部にある。一方、ロンドンは、ビリテン島南部のイングランドの中心地である。ロンドンの警視庁なら「イングランド・ヤード」となりそうなものだが、なぜか「スコットランド・ヤード」と呼ばれてきた。
ロンドン警視庁に「スコットランド」の名がかぶせられたのは、かつてロンドン警視庁のあった場所に由来する。
その場所には、かつてスコットランド王室の宮殿があった。中世までスコットランドとイングランドは別の国であったため、スコットランドの王や大使は、イングランドを訪れたときのための屋敷を必要とした。その屋敷はテムズ川北岸に建てられ、屋敷のあった地はいつしか「スコットランドのヤード(囲い地)」と呼ばれるようになった。
1707年、イングランドとスコットランドは、同じ王の統治下となったため、スコットランド王の屋敷は、必要がなくなった。そこで、1829年に首都警察(ロンドン警視庁)が設けられたとき、この屋敷を使うことになった。ロンドン警視庁のものになっても、「スコットランド・ヤード」という名は残り、逆にロンドン警視庁がそう呼ばれるようになったというわけだ。
ちなみに、現在、ロンドン警視庁は移転し、その地のはないのだが、それでもかつてあった土地の名で呼ばれ続けている。
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